喋りすぎる猫

【ミドル編】

【レビュー】北野武監督「首」【感想】

北野武監督の「首」観てきました。
予告を目にした瞬間「みる!」と決めていた映画です。
「アウトレイジ」は未だ未視聴ですが、「首」はわたしの大好物である戦国時代。
新解釈というより創作になるのでしょうが、北野武監督の手によって史実がどのようにアレンジされるのか。
楽しみ!!


徳川家康が江戸幕府を開く以前の、戦国時代。
大まかな流れとしては、こんな感じ。

①織田信長が天下統一を目指して戦を繰り広げる。

②明智光秀が織田信長を討つが、羽柴秀吉(豊臣秀吉)にすぐやられる。

③秀吉がまんまとポスト信長の地位を手に入れ、武家で初の関白、太閤にまで上り詰める。

④秀吉亡き後、豊富と徳川の最後の戦いが始まる。

⑤関ヶ原の戦い・大坂冬の陣・大坂夏の陣と勝ち進んでいった徳川家康の大勝利!!


「首」は①②のあたりですね。
③以降は触れられていませんが、「後はご存知の通り」ってやつ。
ですから、戦国時代について基本的な知識がないと、あのラストはけっこう唐突だと思われます。
「え、それでどうなるの!?」と置いてきぼりになること必須。
自信がない人はちゃんと予習してから観てね。


1582年6月21日。
織田信長の忠臣であったはずの明智光秀が謀反を企て、京都本能寺に滞在中の信長を襲撃するという大事件が起こります。
「首」では、この光秀のクーデターが実行されてしまうまでの経緯、舞台裏が、実に濃厚に独創的に描かれています。

 

さあ、光秀はなぜブチギレたのか。
そして、誰がどのようにして光秀を焚きつけたのか。
「首」では、秀吉首謀説を取っています。
秀吉を演じるのは、ビートたけしさん。
ちょっと年食った秀吉なんですけど、それよりも「殿」のオーラがすごいんですよ。
弟・秀長との掛け合いも、「おいコラ、ダンカン」的な殿感が否めません。
ちなみに秀長役は、大森南朋さん。
わたしは大森南朋さんのことを、愛情を持って「えびすくい」と呼んでいます。(それまでは長い間「たけち先生」と呼んでいた)


そんな殿感あふれる秀吉が、時々垣間見せる怖さ。
闇と狂気を含んだ暴力性を、一瞬で感じさせるお芝居はさすがです。
高倉健さん主演の「あなたへ」という映画に、車上荒らし犯の役でたけしさん出てるんですけど、あの時の豹変ぶりにもゾクッとさせられました。


「首」では、この怖さを、形は違えど他の登場人物も皆普通に持っているというのが恐ろしいのです。
西島秀俊さんが演じることで、一見正義派、いい人に思える光秀でさえ。
ストレス解消のために人を斬殺するシーンがあったりします。
人の首がびゅんびゅん飛び交う時代に生きていると、ああなっちゃうのかしら。
容赦なし。
人の命が軽い軽い。
命を扱う作品にありがちな美談が、「首」には一切ない。


戦や処刑のシーンも必要以上にリアルなので、そういう耐性がないとちょっとキツイかもです。
大河ドラマなんかでは見せない、ぼやかしてるところが、どアップで迫ってきます。
劇場の大画面で観るとその迫力は尚更。
戦とは、人の殺し合いであるということを、否が応でも再認識させられるでしょう。
それにビビりながら、ハードめのヒトコワを楽しむ。
そんな映画です。
わたしは、めっちゃ楽しめました!!


では、あんまり喋るとネタバレになりかねませんので。
ここからは支離滅裂に個人的感想を述べてまいります。
実際に映画をご覧になって、「なるほどね」とほくそ笑んで頂けると幸いです。

・遠藤憲一さんが「いつも通り」でホッとする。
・光秀の「キンカン頭」の再現力!西島さんなのに!
・蘭丸のカツラのクオリティが残念。わざとかな?
・「本能寺の変」のMVP賞は弥助!
・キム兄、キム兄の役やん。
・中村獅童さん、汚すぎて途中まで誰か分からん。
・千利休が完璧過ぎて別の映画(大作)が1本見えた。
・秀長の役、油断すると高橋克実さんがやってる錯覚に陥る。
・加瀬亮さんが気になって過去記事を色々見たけど、穏やかに笑ってらっしゃる顔もキチ○イ信長に見えてきた。(ほめてる)
・「荒川良々の無駄遣いか?」と思わせるも期待通り。いや、あの短い登場シーンで期待以上。
・某深夜食堂のマスター、うっかり徳川家康に転生しても相変わらずのマイペース。
 

北野武監督が30年もあたためてきた作品です。
見逃してるとこまだまだあると思うので。
配信始まったらまた絶対みる!!