喋りすぎる猫

【ミドル編】

羊雲?うろこ雲?

今朝の空。

 

空一面、見渡す限りこんな感じで。
思わず自転車を停めて、スマホカメラを起動。


とっさの撮影だったため、広い空のほんの一部しか切り取れませんでしたけど。
まさに羊の大群!
圧倒されちゃいました。
いつまでも見ていたかったのですが、残念ながら出勤途中。
しかも時間は結構ギリギリ。
素晴らしいを景色を背負い、突っ走ったのであります。


わたしは羊雲という呼び方が可愛いから好きなのだけど、似たようなのでうろこ雲・いわし雲・さば雲なんてのもありますよね。
何が違うのでしょう?
好み?
いや多分ちがう。
ということで、ちらっと調べてみました。


すると、どうやら高さの違いらしいことが分かりました。
うろこ雲・いわし雲・さば雲は、羊雲よりも高いところに出来るんですって。
うろこ雲・いわし雲・さば雲は、高度5000~15000kmのところにあるそうです。
羊雲はそれらに比べると低く、高度2000~7000kmくらい。
低い分、当然近くに感じます。
あの、手を伸ばせば届きそうな感じは、やはり羊雲だったんですね。

 
秋晴れの空に、羊の群れを見たわたし。
思わずペダルを漕ぐ足を止め、しばし見入りました。
爽やかで気持ちよく、大きく息を吸いました。
空は美しい。
ただただ、美しい。


しかし、感性豊かなアーティストと呼ばれる人々は、ここに切なさをも見出すのです。
羊雲ではなく、うろこ雲。
秋ではなく、春。ですが。
懐かしい曲がありますよね。
そう、ユーミンの「リフレインが叫んでる」
YouTubeミュージックで聴けますよ。
名曲をありがとうユーミン!


情景が浮かびますね。
海沿いの道を走る車。
フロントガラスの向こうには、うろこ雲と、それを照らす夕日。
もう別れてしまった恋人と、最後に見た夕日もこんなだった。
あの日と同じ、岬へと続く道。
ひとり車を走らせていると、ふと駐車場に彼の姿を見たような気がして。
思わず道を引き返してしまうという。
センチメンタリティが込み上げてきて、どうしても涙ぐんでしまう曲です。


「リフレインが叫んでる」がリリースされた1988年には、実はそうでもなかった。
大ヒットしましたが、当時15歳のわたしは、ただの流行歌として聞き流していました。
「あー、泣かせにきてんなー」とやや鼻白みながら。
なんてくそ生意気なガキでしょう!


そんなわたしも、あれから35年生きました。
「もう二度と戻れない日々」というのが、リアルに実感出来るようになりました。
ふとした瞬間に、わたしにもリフレインが聴こえるようになったのです。
最近では、自分自身の恋愛的な感傷がネタ切れになってきたせいか、娘の元カレに感情移入するのが密かなマイブームでした。


娘が高2~21歳までお付き合いしていた同級生のS君。
高校時代はサッカー部の主将で、顔もジャニーズ系でなかなかのイケメンだったため、モテモテだったようです。
素直で礼儀正しくて、シンプルにいい子。
わたしも非常に気に入っていたのですが、専門学校を出て先に社会人になってしまった娘には、物足りなくなってしまったらしく。
またS君の方も、就職したてで情緒が安定しない娘を持て余すようになり。
散々悩んで、泣いて、別々の人生を歩むこととなったのでした。


ここで普通なら、娘に寄り添うはずのわたしの心。
何故かS君の気持ちになってしまったのです。
街なかで、制服姿の女の子とすれ違うたびにハッとする。
もちろん、2人が卒業した高校の制服です。
特に夏服に弱いの。
白いオーバーブラウスに大きな臙脂色のリボンが特徴の、ほんのりコスプレチックな制服なのですが。
小柄で華奢な娘にはよく似合っていました。
「過ぎ去った僕の青春…」などと感涙し、更に盛り上がるために大江千里の「あいたい」を聴いて号泣。
誰やねん。わたし。


今朝のわたしは、秋空いっぱいに広がる見事な羊雲を見て、切なさなど微塵も感じませんでした。
ひたすら爽快で、遅刻しそうになりながらも、思いがけない幸福感に包まれました。
リフレインの叫びなど聴こえない。


わたしがもっと若く、ワケありの恋愛中だったりしたら。
また違った感想だったのでしょうか。
朗らかなパステルブルーの空に、わずかな翳りを見つけては悲しくなったのでしょうか。
なんて。夜更けに物思う。
これはこれで、アラフィフ女子の哀愁。