喋りすぎる猫

【ミドル編】

【男はつらいよ】満男世代のわたしが選ぶ「寅さん」ベスト5!気持ちはいつでも「お帰り 寅さん」

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一時期、Netflixで「寅さん」を鬼リピしていました。
「男はつらいよ」のシリーズ全49作(特別編含む)と、2019年に公開された第50作目「お帰り 寅さん」
計50本が、絶賛配信中ですよ。
(2022年2月現在)


あの昭和の名作が、令和の世にデジタルリリースされてるなんて。
こんな時代がくるとは思ってなかったよ、寅さん。




「お帰り 寅さん」


第50作目の「お帰り 寅さん」は、わたし映画館で観ました。
忙しない年の暮れに、商店街の外れの小さな劇場で。
白牡丹上撰のワンカップを持ち込み、しばし銀幕の世界へ行って参りました。


現在進行形の満男に会えましたよ。
満男のヒロイン・泉ちゃんにも。
さくらさん、博さんはすっかり老夫婦が板についていて、20年の時の流れを感じました。


スクリーンに「男はつらいよ」のタイトルバックを見た瞬間、早くもわたしの涙腺は崩壊してしまいましたので、終始涙でぼやける目で物語を眺め続けました。
「寅さん」が映画館で上映されているという、奇跡のような事実。
それがもたらす、驚くほどの幸福感。


シリーズ第42作目の「ぼくの伯父さん」以降、寅さんの世界は少しずつ満男に物語の軸が移っていくのですが、この50作目は完全に満男の目線で描かれています。
寅さんはもう、満男の追憶の中。


そして映画を観ているわたしは。
寅さんの目線だったかもしれません。
寅さん側から、満男の「今」を見ている。
そんな感覚を持ちました。
わたし自身は、満男と同世代なんですけどね。
ちょっと寅さんの代わりに、甥っ子の自慢でもしておきましょうか。


「いや俺はね、満男にはインテリの血が流れてると昔から思ってたよ。だってさ、博の親父を見てみろよ。あれはお前、インテリ中のインテリだよ?え?俺にも似てるところがある?馬鹿言うんじゃないよ。俺はあんなにうじうじしてねえや」


背広を肩に引っ掛け、嬉しそうに笑う寅さん。
旅の途中でしょうね。


「まあ俺は、小難しいことはわからねえからよ。せいぜい、満男大先生のご著書を枕にしてさ。いい夢見らあな」


そして、ぽつんぽつんと歩き去る。
またいつか、わたしの地元の方にも寄ってよね。
「かがりさん」も、きっと心待ちにされていますよ。


この50作目で、「寅さん」はお終いなんでしょうね。
エピローグのようでもあり、また新たに紡がれていく物語のプロローグのようでもありました。


「お帰り 寅さん」は、49作すべて観てからご覧になることをおすすめします。
道のりは長いですが。
それが筋ってもんよ!




わたしの「寅さん」ベスト5


どの「寅さん」も大好きなのですが、その中でもわたしが特に好んでリピしてしまうのはこの5作品。
順位はつけられませーん!!


第11作「寅次郎忘れな草」

リリーさん初登場!
浅丘ルリ子さんの大きな黒い瞳とコケティッシュな唇が印象的です。
初めてとらやにお泊まりした夜。隣の部屋に布団を敷く寅さんに、何度も大きな声で「寅さん!」と呼びかけるリリーさん。
「あいよ!」と応える寅さん。
そのやりとりに、笑いながらもホロリとさせられます。
大きな満月にも見守られて、幸福な夜だったでしょうね。

 

第15作「寅次郎相合い傘」

リリーさん再び。
リリーさんに対しては、寅さんも「男の顔」をチラリと見せます。
相手を蔑むような暴言を吐いてしまうのも、他のマドンナ達に対しては決してないことですね。

 

第17作「寅次郎夕焼け小焼け」

龍野芸者に扮する大地喜和子さんが、播州弁できゃんきゃんはしゃぐ姿がとっても可愛い!
寅さんとは堅気じゃない者同士、粋な恋人ごっこを楽しみます。
結局くっついても振られてもないのですが、こういう終わり方も好き。

 

第18作「寅次郎純情詩集」

シリーズ中、唯一年上のマドンナ。
病弱で世間知らずのお嬢様「奥様」と、とらや一家の交流が見どころです。
さくらさんの優しさや、たった1人の兄を大切に思う心情がよく表れているお話。
寅さんが幸せそうで、こちらも嬉しくなっちゃいますよ。
女優は京マチ子さん。

 

第25作「寅次郎ハイビスカスの花」

舞台は沖縄。
リリーさんと寅さん、ついに同棲!?
ちょいと人間関係が複雑になるのですが、嫉妬をあらわにする寅さんの姿が新鮮ですよ。
お互い短気で、威勢はいいけどさみしがり屋で。
野暮はしないが、その分意地っ張り。
そんな2人の、結末が気になるところです。


いつも同じところで泣いちゃいます。
結末が分かっている映画を繰り返し見て、何が悪い?
時間の無駄上等です。


わたしはまた幾度でも、あの世界に戻りたくなるでしょう。
不思議なのは、このシリーズの主人公はもちろん寅さんなのですが、お話は決して寅さんの目を通して語られてはいないところです。
じゃあ、誰?
さくらさん?
満男?


正解は、わたし。
とらや(くるまや)の茶の間で繰り広げられる一連の騒動を、わたしはいつもすぐ近くで見ています。
とらや(くるまや)に集まる面子と同じ場所から、わたしもまたハラハラと気を揉んでいるのです。


それは確かな記憶となり、次からはわたし自身が語り手となってお話を追っていきます。
「あー、ここで裏のタコ社長が出てきて余計なこと言っちゃうんだよ」
とか。
「さくらさん、悲しいねえ…」
とか。
「それ以上追うと、寅さんは逃げちゃうよ」
とか。


渥美清さんが故人となられ、25年が経ちました。
おいちゃん、おばちゃん、タコ社長ももういません。
だけど、映画の中に流れる時間は、いつだって寅さんがとらや(くるまや)に不意に帰ってくるところから始まるのです。