ぼちぼち認知度が上がってまいりましたミニLED液晶。
ソニーでは2022年発売のX95Kシリーズから、3代目となります。
認知特性プロセッサー「XR」を搭載し、圧倒的な輝度と
豊かなコントラストを見せつけたX95Kシリーズですが、2023年発売のX95Lシリーズであっさり別の次元へ。
これ以上はないと思うほどの完璧な仕上がりに思えたのに。
更に上回るXR90シリーズの登場ですよ。
新しくXR70シリーズも追加されて、BRAVIAのミニLED液晶モデルは2機種となりました。
この記事では、BRAVIA 2024年新モデル XR90シリーズ・XR70シリーズのご紹介をしております。
2機種の違い、ミニLED液晶のおすすめポイントなど。
テレビ選びのご参考に♪
- ミニLED液晶テレビとは?
- ミニLEDの効果
- 普通の液晶テレビとミニLED液晶テレビの比較
- 有機ELテレビとミニLED液晶テレビの比較
- ミニLED液晶は、ちょうどいい!
- どこが違う?XR90シリーズとXR70シリーズ
- XR90シリーズ・XR70シリーズ 共通の進化ポイント
- まとめ
ミニLED液晶テレビとは?
バックライトにMini LED電球を搭載した液晶テレビのことを、ミニLED液晶テレビと呼んでいます。
ミニLEDというからには、それはもうかなりのミニサイズですよ。
従来の液晶テレビに使われているLED電球の、およそ100分の1。
0.1mm以下のものすごく小さなLED電球です。
びっしりと敷き詰められたミニLED電球が、テレビ画面を明るく、きめ細やかに照らしているのです。
ミニLEDの効果
ミニLEDをバックライトに使うことで、テレビの画質はどう変わるでしょうか?
普通の液晶テレビは、普通のLED電球が全体をざっくり、明るく照らしています。
際立って明るい部分も、沈み込むように暗い部分も実はありません。
コントラストに今ひとつキレがなく、有機ELテレビと比較されて「深みがない」などと言われてしまいます。
これが、100分の1の小さな小さなLED電球でコントロールが可能となると。
かなり変わってくるのです。
普通の液晶テレビよりも光の拡散を防げるため、ここぞというポイントに集中してキラッと明るく輝かせることが出来ます。
また、明るさが不要なエリアに光が無駄に溢れることも、普通の液晶テレビよりも少なくなります。
普通の液晶テレビよりもしっかりと明暗のエリア分けするので、有機ELに寄せたコントラストを描き出せるようになっています。
しかも。
有機ELテレビほどきっちり絞り込まないため、シーンによっては有機ELよりも見やすい。
ということもあります。
有機ELテレビの発光は、1画素につき1個。
つまりおよそ829万個。
829万分割された光源が、本当に必要なエリアでしか発光しないわけです。
光の拡散がないことで、よりリアルな黒を表現出来る。というのが有機ELテレビの最大の魅力なのですが。
黒すぎて詳細がわからない、ということも起きてしまいます。
黒潰れですね。
黒潰れは、輝度の低い液晶テレビでも見られますね。(RE○ZAのM550Nとか)
ミニLEDだと、細かいとはいえ電球の数は何千個レベル。
有機ELテレビの829万には遥かに及びません。
有機ELテレビでは届かなかった闇部分にも、いい感じに光が漏れて、ほどよく照らしてくれるのです。
有機ELテレビで明るさ(光の拡散)を求める人は、パナソニックのZ95Aシリーズ、REGZAのX9900Nシリーズをご覧あれ。
光を拡張させるマイクロレンズの効果で、見事に闇が解けていますよ。
発色とか、繊細な階調表現とかはまあ置いといて。
とにかく明るい有機ELテレビとなっております。
普通の液晶テレビとミニLED液晶テレビの比較
画像①
画像②
画像③
比較に使っているX90Lシリーズは、認知特性プロセッサー「XR」を搭載した直下型LED液晶テレビです。
これはこれで立派に高画質なのですが、ここでは「普通の液晶テレビ」として扱います。
対するXR70シリーズは、2024年初登場のミニLEDモデルです。
進化版「XR」搭載。
さて、比べてみるとよく分かりますね。
画像①では、機織りをしている女性の明るさが違います。
XR70の方が、被写体としてより明確になっています。
赤の発色も鮮やかで、存在感が増しています。
画像②③でも、XR70のポイントをしぼった明るさが目を引きます。
画像②では、金色に見える色のトーンがXR70では3段階ありますね。
小さな画像で見ると、明るさを強調し過ぎているように感じるかもしれません。
でもこれがいいんです。
これくらいしっかりと際立たせて、ちょうどいいんです。
75インチだの85インチだの言い出すと、なにしろデカいですから。
ピークの明るさから黒までの階調が、伸び伸びと大胆に表されているほど、大画面に見合ったリアルな立体感、遠近感を感じることが出来るのです。
有機ELテレビとミニLED液晶テレビの比較
画像④
画像⑤
画像⑥
画像⑦
XR80シリーズ(有機EL)とXR90シリーズ(ミニLED液晶)の比較です。
どちらも2024年モデルで、進化版「XR」搭載。
ピーク輝度も、前モデルから XR80シリーズ は最大120%、XR90シリーズは最大150%アップしています。
画像④⑤は、光と闇のキラキラしたコントラストが比較ポイント。
XR80(有機EL)は、黒をしっかりと引き締め、ネオンや星のひとつひとつを丁寧に照らし出していますね。
XR90(ミニLED)は、光を集合体として捉え、華やかな明るさで再現していて、特に夜景の方はビル群の詳細が分かりやすいですね。
どちらも美しい。
これは甲乙つけがたい。
画像⑥⑦は、何だか不穏な空気に包まれた街の様子。
XR80(有機EL)の方が闇が深いため、より不気味さを醸し出せていますね。
XR90(ミニLED)は、光量が多い分無駄に明るいですが、XR80(有機EL)では見えにくくなっている細かいディテールがはっきりと出ています。
こちらも好みでしょうね。
ミニLED液晶は、ちょうどいい!
ミニLED液晶テレビのおすすめポイント、分かって頂けました?
有機ELテレビだと、明るさが足りない。
普通の液晶テレビだと、コントラストが平坦で物足りない。
両者のちょっと残念なところを補ってくれるのが、ミニLED液晶テレビなのです!
量販店の明るい照明の下で、より明るいミニLED液晶テレビが見やすいのは当たり前のこと。
これは、リビングルームでも同じことが言えます。
発光が絞られる有機ELテレビは、日当たりのよいリビングルームでは、やや不利。
ということになります。
残念です。
とはいえ、有機ELだってやっぱり捨て難いですよね。
あの完璧な黒は、ミニLEDと言えども液晶テレビではまず出せませんから。
有機ELテレビのポテンシャルを最大限に引き出すなら、視聴環境を有機ELテレビに合わせてあげることです。
有機ELテレビの発光が明るく感じる程度に、室内の照明を絞ってみるといい感じになりますよ。
黒潰れだと思っていたエリアが、ちゃんと見えるようになったりします。
好みと環境。
どちらも満足のいくテレビ選びが出来るといいですね。
どこが違う?XR90シリーズとXR70シリーズ
XR90シリーズとXR70シリーズ。
どちらもソニーのミニLED液晶テレビです。
しかし店頭でもネットでも、同じインチで20万円~30万円近くの価格差があったりします。
XR90シリーズ、かなり強気のお値段となっております。
では、一体どこにそれほどの差があるのか。
詳しく見ていきましょう!
XR90シリーズ (BRAVIA9)
サイズ展開 65インチ・75インチ・85インチ
XR90シリーズは、BRAVIAの新しいフラッグシップモデルとして登場しました。
ソニーでは、2017年に初の4K有機ELモデルを発売して以来、フラッグシップといえば有機ELでしたが。
2024年夏!
ついに来ました!
ミニLED時代!
わたしが最強だと思っていた前モデルX95Lシリーズから、すべてが大幅にパワーアップしております。
それはもう、驚きの進化です。
画質
まず、ミニLEDの肝とも言えるピーク輝度。
こちらはX95Lシリーズと比較して最大1.5倍にアップしております。
初代ミニLEDモデルX95KシリーズからX95Lシリーズでは、最大1.3倍アップでした。
じわじわと、確実に明るくなっていますね。
びっしりと敷き詰められたミニLED電球の分割数も、3倍になりました。
この分割数は、多ければ多いほどきめ細やかな階調表現が可能になります。
ちなみに、X95KシリーズからX95Lシリーズでは、最大1.2倍アップとなっていますので。
今回の3倍は飛躍的!
バックライトをコントロールするLEDドライバーも、ソニー独自開発の超小型(ゴマ粒より小さい!)新LEDドライバーを搭載しております。
緻密なバックライトコントロールと、ソニー史上最高輝度の相乗効果により、ダイナミックかつ繊細なソニーらしい高画質が完成しています。
また、ソニー独自の高視野角技術 X-Wide Angle(エックスワイドアングル)により、液晶テレビの欠点である「視野角が狭い問題」も解決しています。
液晶テレビなのに、ナナメから見ても白くならない!
反射を低減させるX-Anti Reflection(エックスアンチリフレクション)も装備されていますので、明るい部屋でも白くならない!
有機ELモデル同様、壁掛け設置に向いていますね。
音質
スピーカーも進化!
なんと、ビームトゥイーターなるものが追加されましたよ。
トゥイーターなので、高音域専用のスピーカーです。
他メーカーのテレビでよく見かける、イネーブルド(上向き)スピーカーみたいな形をしています。
画面の裏側にひっそりと存在し、音を天井に反響させるというアレ。
このビームトゥイーターとは別に、X95Lシリーズで好評だったフレームトゥイーターも引き続き採用されていますので、XR90シリーズはトゥイーターがW構えということになります。
元々音の立体感、定位感には定評があったものの、画面裏の上向きスピーカーの有無にこだわる人がいるのも確か。
今回の進化により、そんなカタログ厨にも突っ込ませない仕様となりましたのでよろしく。
X95Lシリーズから継続のフレームトゥイーターについて、ちょこっと触れておきましょう。
フレームトゥイーターとは、テレビのフレームを振動させて高音域を鳴らす仕組み。
つまり、フレームがスピーカーになっちゃってるという状態です。
反響音ではなく、ダイレクトに耳に届く音なので、よりクリアな高音質となっています。
しかも、音源の位置を前に感じさせるよう、ごくわずかにフレームトゥイーターの音を先出ししているそうですよ。
フレームトゥイーターの駆動源は、手のひらに乗るほどの小さなデバイス。
薄いフレームに埋め込めるくらいですからね。
そんなプチサイズの電子機器が、電気と力学の相互変換がナンタラカンタラで、すごいことをやっているのです。
ソニーの有機ELモデルに搭載されている、アコースティックサーフェスのちっさい版てところかしら。
あちらはテレビ画面を振動させて音を出しています。
全体の構成としては、
ビームトゥイーター ×2(5w + 5w)
フレームトゥイーター ×2(10w + 10w)
フルレンジスピーカー ×2(10w + 10w)
サブウーファー ×2(10w + 10w)
なんだ、70wぽっちかよ。
などと侮るなかれ。
ソニーのフルデジタルアンプのパワーは、是非店頭で!
もちろん、サウンドバー等ホームシアターを設置されるのも超おすすめですよ。
こちらはまた別の機会に!
XR70シリーズ (BRAVIA7)
サイズ展開 55インチ・65インチ・75インチ・85インチ
XR70シリーズは、2024年に初登場のモデルとなります。
XR90シリーズと同じくミニLED液晶モデルですが、比較的お求めやすい価格となっております。
サイズ展開が55インチからというのもいいですね。
ポジションとしては、X90Lシリーズ(普通の液晶テレビ)とXR90シリーズ(ソニーの全力ミニLED液晶テレビ)の中間くらい。
はて。
その実力とは?
画質
X95Lシリーズ(2023年モデル)と同等の明るさ、バックライトの分割数を持ちながら、パネル表面の加工はX90Lシリーズ。
という、ちょっぴり惜しい〜モデルです。
XR90目線で言うなら、「明るさは3分の2、バックライトの分割数は3分の1。X-Wide Angle(エックスワイドアングル)もX-Anti Reflection(エックスアンチリフレクション)も付いてない」
数字をごちゃごちゃ並べてもよく分かりませんよね。
「同じソニーのミニLED液晶で、そんなに差がある?」と思われるかもしれません。
でも、それが大アリなんです。
比較画像⑧
こういうことですよ。
ただし、これはあくまでもソニー比。
XR90シリーズがキラキラすぎるのです。
では、他メーカーのミニLED液晶テレビと比較してみてどうでしょうか。
発色とか、自然なコントラストとか、繊細さとか。
ソニーらしい高画質の要素を無視すれば、シャープのEP1シリーズ、REGZAのZ870Nシリーズの方が、パネル表面の加工が良い分クリアに見えます。(同価格帯のミニLED液晶モデルで比較)
反射に耐えられないXR70シリーズが、ほんのり霞んで見えるのに対して、比較対象の2モデルはキリッとと引き締まった印象で、売り場映えします。
悲しいけど、ホントのこと。
XR70シリーズって、ちゃんと輝度も高いし、発色もいいし、コントラストも美しいのに。
パネル表面がふわっとして見えるせいで、損しちゃってる。
XR90シリーズのように、即「圧勝!!」とならないところが、ソニーの勝負モデルとして力不足を否めませんね。
純粋に画質に納得して、XR70シリーズを選ばれる方ももちろん多くいらっしゃいますよ。
パッと見の分かりやすさで選ぶか。
じっくり見比べてRX70シリーズの実力に気付くか。
売り場でテレビと向き合う時間によっても、見方は変わってくるでしょう。
音質
XR90シリーズと比較すると、XR70シリーズはスピーカーもシンプルです。
フルレンジスピーカー ×2(10w + 10w)
トゥイーター ×2(10w + 10w)
サブウーファーはナシ。
底面に配置されたフルレンジスピーカーと、トゥイーターで構成されています。
トゥイーターは、両サイドに設けられたスリット型のサウンドポジショニングトゥイーター。
高音域を前に出すことで、ソニーらしいクリアなサラウンド感が楽しめます。
見た目以上にいいんですー。
50X90K・55/65X90Lも同じ仕様です。
シャープのGN2シリーズやREGZAのZ670Nシリーズと迷っている人は、聴き比べてみてね!
XR90シリーズ・XR70シリーズ 共通の進化ポイント
2023年モデルから進化したポイントをご紹介しておきますね。
こちらは、XR70シリーズ・XR80シリーズ・XR90シリーズ共通です。
・認知特性プロセッサー「XR」がさらに進化→「顔」と「顔のようなもの」をしっかり識別。緑色検出強化により、木を認識することで木の精細感がアップ。自然の風景などが、よりリアルに!
・ボイスズーム2からボイスズーム3にアップデート→人の声のみをより正確に絞り込めるようになりました!
・スタジオ画質モード(Studio Calibrated)を追加→Netflix・Amazonプライム・SONYピクチャーズコアのコンテンツを、製作者の意図に沿った画質で再現。
・BRAVIA Connect アプリ対応→スマホのアプリでテレビを操作出来ます。 ※ホームシアター(対応機種)も操作出来ます!
・スタンドデザインが3wayから4wayに→スタンドを内側に設定時でもサウンドバーを乗っけて設置することが出来ます!
・WiFi 6に対応
・ECOメニューがアップデートされました!
ECOメニューやその他便利機能については、こちらのXR80シリーズの記事にまとめております。
有機ELモデルに興味がある方もどうぞ!
まとめ
ソニーの新フラッグシップモデルXR90シリーズと、プレミアム液晶モデルを進化させたXR70シリーズ。
どちらもソニーのおすすめミニLED液晶モデルです。
こちらの記事では、XR70シリーズをXR90シリーズの劣化版のような書き方をしている箇所もありますが、決してそのような意図はございません。
価格に見合った価値が、XR90シリーズにはあるというご紹介でした。
高いお買い物ですもの。
XR90シリーズは、キング・オブ・ミニLED液晶であるとわたしは本気で信じています。
他メーカーのミニLED液晶モデルとじっくり比較する機会があり、確信を得ました。
REGZAのZ970Nシリーズが強敵になるかと心配しておりましたが、わたし個人の意見といたしましては「勝負にならん」
まあ、好みもあるでしょうから。
ここで煽ったりはしませんけどね!
家電量販店に出かけましょ。
カタログとかこんなブログばっか見てちゃダメダメ。
ご自身の目で、耳で、確かめてほしいのです。
テレビの進化に驚かれること請け合いなのでございます。