喋りすぎる猫

【ミドル編】

【ベルサイユのばら】50周年おめでとうございます!!劇場版も楽しみにしてます!!

きっかけはポリニャック夫人

2022年、真夏。
YouTubeでたまたま目にしたある貴婦人の肖像に、わたしは心奪われてしまいました。
その方の名は、ポリニャック公爵夫人ヨランド・
ド・ポラストロン
18世紀中頃のフランス・ベルサイユにおいて、王妃マリー・アントワネットの寵臣(お気に入り)であった女性です。


ポリニャック夫人のキャッチフレーズは「天使の顔をした悪魔」
抜きん出た美貌に上品で優しげな風情を纏い、計算づくでベルサイユへ送り込まれたポリニャック夫人。
王妃マリー・アントワネットにまんまと取り入り、王室の財産をむさぼり尽くそうとした悪女として伝えられています。


そんなポリニャック夫人をはじめ、ポンパドゥール夫人やデュ・バリー夫人。ランバル公妃マリー・ルイーズ。
ベルサイユを彩った美しい貴婦人達の物語は、わたしの好奇心を刺激してやみません。
彼女達が生きた革命前後のフランスについて、もっと知りたい!と思うようになりました。
50年近く生きてきて、初めてヨーロッパの歴史に興味を持ったのです。


そして辿り着くのはやはり、かの名作「ベルサイユのばら」
ですよね!
漫画家池田理代子先生の代表作として、あまりにも有名。
今年は「ベルばら誕生50周年」なのだそうですよ。
YouTubeでも「ベルばら」絡みの動画がたくさん更新されています。


週刊マーガレットに「ベルサイユのばら」が連載されていたのは、1972年~1973年
1973年生まれのわたしにとっての「ベルばら」とは、漫画ではなくアニメの方です。
こちらは1979年~1980年に日本テレビ系列で放映されていました。


しかし、幼いわたしに複雑な歴史背景など理解出来るわけもなく。
また華麗すぎる絵柄も近寄りがたく、登場人物が皆大人に見えたこともあり。
「これは子供の自分が楽しめるコンテンツではない。」
そう決めつけていたのだと思います。
「ベルばら」をテレビで観たという記憶も、残念ながらおぼろげにしかないのです。


あれから長い時を経て。
あの頃は心通わせられなかった「ベルばら」と、再び向き合ったわたし。
文庫版全5巻を夢中で読みました。
半世紀前、乙女達の胸を熱く焦がし続けたオスカル様の魅力も、今なら分かりますとも。


さあ、「ベルばら」について語り合いましょうよ!

 

史実とフィクションの間を行ったり来たり

「ベルサイユのばら」文庫版全5巻を、寝る間も惜しんで読み耽りました。
当時のピュアな乙女達の熱量には、はるかに及ばないことは承知の上で。
まさに「ばら色の日々」を過ごさせて頂きました。


とは言え、大人になってしまったわたしは、「きらめくフィクションの世界に、そーれ没入!」という状態にはなかなかなれない。
ついつい、登場人物の実際のご尊顔(肖像画)をスマホで画像検索してみたり。
劇的エピソードと史実を照らし合わせてみたり。
いらんことをしてしまうわけです。


日本史好きのわたしとしては、「その頃、日本では…」とかさ。
ついついロココとは正反対の世界へ意識が行ってしまうのです。
ちなみに日本は江戸時代中期。
天保の大飢饉が東北の農村を襲い、老中田沼意次の悪政が民衆を苦しめていました。
搾取され続けた民衆の不満は爆発し、一揆や打ちこわしといった暴動が多発します。
これによって田沼意次は失脚。


似てますねー。フランス革命と!
ただ、こちらはまだ江戸幕府を倒すところまではいきません。
貧しい農民や町民が大暴れして、抗議を行ったに過ぎず。
落ち着いたら処刑されて終わりです。
ここでロベスピエール的な指導者が現れて、「三部会」的な発想が生まれて実現されていれば。
日本の歴史ももっと早く大きく変わっていたのかもしれませんね。


この度わたしは、短期間で「ベルばら」を2回読了いたしました。
1回目は、前述の「いらんこと」をしながら。
今まで不勉強だったフランスの歴史を追っかける作業。
「ベルばら」をより楽しむための予習といってもよいでしょう。
気になることが多過ぎてなかなか先に進みませんが、とても充実した楽しい時間でしたよ。


2回目は純粋に、池田理代子先生の「ベルばら」の世界にどっぷり浸かりに行きました。
今度こそ、思いっきりダイブです。
するともう、泣ける泣ける。
1回目ではまったく心に響かなかったマリー・アントワネット王妃とフェルゼン伯爵のラブストーリーも、改めて読むと涙なしにはページをめくることが出来ないのです。
リアルフェルゼンには、実は長期に渡りセ○レのような女性がいたようなのですが、「ベルばら」の物語においてはもちろん気配すらありません。


たくさんの魅力的な登場人物の中で、最もわたしの心を震わせたのは誰だと思います?
この方のファンは、多いはずですよ。
そう、ぶっちぎりでアンドレ!


アンドレ・グランディエは架空の人物のため、リアルアンドレは存在しません。
池田理代子先生がお作りになった美しい世界がすべてです。
故に、我らがオスカルへの一途な愛は純度100%
完璧なのです。
思い詰めて毒を盛ろうとするシーンもありましたが、ちゃんと思い留まってくれました。


オスカルとアンドレの悲恋は、フランス革命という歴史的大事件を背景に、クライマックスを迎えます。
フランス革命ですよ!
ヨーロッパ史に疎いわたしですら、なんとなく説明出来る。
800年続いたフランス王政の崩壊という、おっそろしい事態です。


にもかかわらず。
ベルサイユ宮殿の要塞であったバスティーユ牢獄が、今まさに陥落しようという瞬間。
わたし達はそれどころではなくなってしまいます。
だって、アンドレが!
オスカルが!!


革命が起こるまでの経緯は、物語の縦糸としてしっかりと描かれています。
ネットで補足の情報を仕入れながら、冷静に見届けてきたつもりでしたが。
結局オスカルとアンドレにぜーんぶ持ってかれた感じ。
池田理代子先生お見事!としか言いようがないです。


「髪の毛1本にいたるまで人間は自由である!」と声高らかに宣言し、フランス衛兵隊長でありながら市民側に付いたオスカル。
胸の勲章を引きちぎり、いざ進撃!


さらば  もろもろ古きくびきよ
二度と戻ることのない  わたしの部屋よ
さらば  王太子殿下  内親王殿下
愛をこめてつかえた  ロココの女王
うるわしき愛の女神よ
さらば  さら…ば…
フェルゼン伯…!


「この戦闘がおわったら結婚式だ」と馬で駆けていく姿は、実に清々しい。
同時に、思いっきり女の子してる。
オスカルならではですよね。


「自由・平等・友愛」をスローガンに掲げて押し進められたフランス革命。
それはオスカルとアンドレにとっても、希望のレボリューションであったのでしょう。
貴族と平民。
決して結ばれることのない、悲しい運命。
しかしオスカルは、すべてを捨ててアンドレを選ぶのです。
輝く白馬の騎士となり、運命を力強く飛び越えていくオスカルの姿は、きっとアンドレの心の目にも鮮やかに映ったはず。


オスカルが力尽きる前。
必死に手当をするロザリーに向かって、「アンドレが待っている、行かせてくれ」と穏やかな表情で告げるシーンがあります。
「わたしたちは  夫婦になったのだからね」と。
わたしがいちばんやられたのは、ここ。
今こうして書いていても、涙で文字が滲みます。
困るわ、通勤途中なのに。


フランス史を遅ればせながら学びたくて手に取った「ベルサイユのばら」
フランス革命前後のヨーロッパの様子が、ほんの少ーし分かった気になりました。
が、しかし。読み終えて今わたしの胸中を占めているのは、オスカルとアンドレの極上ロマンス。
アンドレに対するわたしの片思い。
池田理代子先生がこの世に生み出されたキャラクターの強さよ!

 

無敵のヒロイン!オスカルの理想と現実について考える

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは、架空の人物。
50年も前に大ヒットした少女漫画の、一登場人物に過ぎません。
しかしその存在は、今なお色褪せることなく光を放ち、わたし達を惹き付けます。

 

リアルタイムには幼過ぎて「ベルばら」にハマれなかったわたしでさえ、男装の麗人オスカルのことは当たり前に知っていました。
アラフィフ~アラ還の女性達にとって、オスカルとは。
モンキー・D・ルフィや竈門炭治郎、北斗の拳のケンシロウに匹敵するほどの絶対的ヒロインなのです。


オスカルの全盛期って、いつだと思います?
物語のピークや本人の活躍から鑑みれば、やはりフランス革命の火蓋が切って落とされた、あの瞬間でしょうか。


この時、オスカルは36歳。
フランス衛兵隊長として出動する朝、父であるジャルジェ将軍に向けた言葉が男前過ぎてシビれます。


たとえなにがおころうとも  父上はわたくしを卑怯者にはお育てにならなかったと  お信じくださってよろしゅうございます


ああ、オスカルはやっちまう気だな、と。
わたしは戦慄いたしました。
美しい散り際を予感させる、情熱のたかぶりがそこにはありました。
アニメ版の主題歌にもあるように、オスカルは「バラのさだめに生まれた」のです。
「華やかに激しく生きろ」と、この世に生み出された。


バラはバラは  気高く咲いて〜
バラはバラは  美しく散る〜

アニメ「ベルサイユのばら」主題歌「薔薇は美しく散る」より引用させて頂きました。


実に立派な最後でしたね。
強さと優しさと信念を持った1人の軍人の生き様に、異を唱える者はいないでしょう。


では、女性としての全盛期は?
少年近衛兵時代から二十歳前後の、ばらのつぼみがほころびていく頃かしら。
それとももう少しあとの、咲き誇る花の盛りの頃かしら。
どのシーンを切り取ってみても、オスカルの完成度の高さにはため息しかありません。
あまりのイケメンぶりに、女性であると知ってショックを受けたのは遠い昔。
アラフィフのわたしには、最初から最後までちゃんと女の子に見えましたよ。


スラリとした長身に、波打つブロンドの髪。
端整な顔立ちには性別を超えた美が宿り、人々を魅了します。
そんな生まれ持っての美貌にふさわしい、清廉でまっすぐな心を持ったオスカル。
ひとりの人間としても、女性としても。
彼女を超える者はそうそう現れないでしょう。
オスカルに恋してしまったアンドレの苦悩は、ここにもありますね。
存在がスペシャル過ぎるのです。


亡くなるその瞬間まで、オスカルのビジュアルはまったく劣化していないように見えます。
変わったといえば、少し大人びて、凛とした美しさに憂いの影が見え隠れするようになったこと。
実際にはあり得ません。
36歳のオバサンですよ。


お肌はやわらかくたるみ始め、顎のラインも曖昧になってきます。
「陽にすける白桃」と称された頬も、そのみずみずしさと張りを永遠にキープ出来るわけもありません。
代謝も落ちてくるし、太らなくてもボディーラインは確実に変わってきます。
あのシュッとしたスタイルが維持され続けたのは、2次元ならでは。
わたし達の理想が、ここでは真実なのです。


時間の流れが、自分の老化にほぼ影響しないなんて。
なんとも夢みたいな世界ですね。
そんな特殊な環境のせいか、性的にはかなり遅咲きのオスカル。
アンドレのことを男性として意識し始めたのも、30代も後半になってからっていう。
アンドレもまあまあオッサンですよね。


わたしが密かに気になっていること。
それは、アンドレの女性関係。
アンドレも男ですから、そういう欲求は当たり前に持っていたでしょう。
オスカルにスルーされ続けた長い人生。他の女とナンカあったとしても、責められませんよね。
オスカルには悪いけど、想像するとちょっと興奮しちゃうかも。
酒に酔ったアンドレと娼婦の、一夜限りの恋。とかさ。こっそり覗いてみたい!


オスカルとアンドレが結ばれたのは、まさに戦い前夜。
夕食の給仕をするアンドレに、「アンドレ  あとでわたしの部屋へ…」とオスカルが声をかけます。
それはまわりには気取られぬよう、密やかに伝えられました…


ていうかアンドレって。ほんとに普通に使用人だったのね。
それは分かっていたことですが、給仕を終えてワゴンを押しているアンドレの姿を確認して、ちょっとびっくりしたのはわたしだけ?
馬丁のアンドレに配膳までさせて、優雅に着席なさっている令嬢オスカル様。
そういう構図ね。
結構ちゃんと線引きがあったのね。
アンドレはジャルジェ家からもっと特別扱いされてるもんだと、勝手に思ってました。
へえー。


その後、オスカルの部屋にて。
神話の世界さながらのめくるめく時間があったわけですが。
わたしは「ちょっと待ったぁー!!」を入れたい。
アンドレはともかく、オスカルは初めてですよね?
「こわい」って言ってましたし。
問題は、翌朝の出動です。
平然と馬に跨ってますけど。
ものすごーく痛いのでは!?


下衆な考察、お許し下さいませ。
でもさ。実際猛烈に痛いですよね?
その痛みを乗り越えてのあれだったとしたら。
オスカルという人は、やはり並外れた精神力を持っています。


しかも、結核(?)も患っていましたよね。
結核の症状は、不意にドラマチックな喀血をするだけではありません。
身体は常にだるいし、咳は止まらないし、発熱することだってあるのです。


そんなバッドコンディションでありながら、祖国フランスのために命を懸けて戦い抜いたオスカル。
ヒロインという言葉では、とてもとても足りません。
オスカルの高潔な魂は、わたし達の思い描く理想や現実を遥か超えたところにあるといったよいでしょう。

 

祝!50周年

こうして「ベルばら」「ベルばら」言ってるものですから、関連のニュースがスマホに届くようになりました。
ベルばら誕生50周年、おめでとうございます!
劇場版アニメも楽しみですね!


池田理代子先生の最近のお姿を拝見しまして、びっくり。
華やかでキレイな方ですよね〜。
うちの母親と同年代だなんて。信じられない。
池田理代子先生も、オスカルと同じ時空間にいらっしゃるのかもしれませんね。

 

ベルばら人気は日本だけにとどまらず、世界各国でも
翻訳・出版されているとのこと。
日本が誇る不朽の名作なのです。
若かりし日の池田理代子先生。出版社のおじさん達の反対に怯まず、強気で連載を始めて下さってありがとうございます。
「絶対に当てる」とおっしゃったそうですね。
なんて素敵!
大当たりです!
「ベルばら」と同じ時代に生きることが出来たわたしは、幸運です。


「ベルサイユのばら」文庫版全5巻は、わたしの大切な蔵書としておうちから出さないようにするつもり。
軽い気持ちで人に貸しちゃうと、戻って来ないことありますから。
「キャンディ♡キャンディ」なんか悔やんでも悔やみきれません。
メルカリで買い直しましたが、1万円近くかかりましたよー。


わたし達の「ベルばら」が、この先もずっとずっと読み継がれますように。
オスカルの正義が、正義として理解される世の中であり続けますように。

本文中斜体部分、「ベルサイユのばら」より引用させて頂きました。

 

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